こんなことは、私が赴任して以降、記憶にありません。
最初の惨劇は、夕方5時ごろに起きました。
ヒナを2羽連れたカルガモのメスが、ヒナを襲っていました。
襲われているヒナは、なすすべもなく何度も噛み付かれ、息絶えて水面に浮かんでいました。
さらにこの母ガモは、ヒナ1羽の命を奪った後、
そばにいたもう1羽にも襲いかかり、あっという間に殺してしまいました。
ヒナが少しでも動いていると、徹底的に止めを刺す執拗さでした。
2羽目のヒナに激しく噛み付くカルガモの母親。
左手前には、先に襲われたヒナの亡骸が浮かんでいます。
続けざまに2羽のヒナを殺した母ガモは、
わが子を連れて去っていきました。
この母ガモは、この後にも、
かなり成長したヒナ8羽の親子にも襲いかかっていたそうです。
なぜそこまで攻撃的なのでしょう。
子殺しはカルガモの生態として知られていることではありますが、
同種のヒナを相次いで殺すとは、なんとも過激な行動です。
殺されたヒナは、誰のヒナなのか分かりませんでした。
死体を回収したところ、ヒナには体格差があり、同じ兄弟なのかも疑問です。
親からはぐれた迷子なのか、それともこの母親が連れていた子だったのか。
謎だらけの事件です。
カルガモの子殺しは、生息地が過密になると見られる行動といわれていますが、
水鳥公園の27ヘクタールの面積では、
今園内で暮らしているカルガモの親子たちにとって窮屈ということなのでしょうか。
昨年に続いて、今年もカルガモの子殺しが起きてしまいました。
そして閉館時間を過ぎた17:40ころ、
今度はオオタカの若鳥がカルガモの親子を襲い、ヒナ1羽を捕食しました。
襲われた親子は、オオタカがヒナを食べている間、
そこから少し離れた場所で右往左往していました。
カルガモのヒナを食べるオオタカ。
近頃、毎日のように現れていたのは、
これが目当てだったのかもしれません。
水鳥公園のアイドルとして、
これからたくさんの方に観察して頂きたかったカルガモのヒナが、
相次いで3羽も失われてしまうとは、とても悲しいです。
(きりぎりす)