2010年10月25日月曜日

「この鳥な~んだ?」水鳥公園の見解

さて、先週の日曜日に「この鳥な~んだ?」と紹介したこの鳥。この鳥の正体について、水鳥公園の見解をお知らせします。



CIMG4452ts.JPGまず、体型からこの鳥はハジロ属(Aythya属)と考えられます。そして、虹彩が白いことから、アカハジロの雄、またはメジロガモの雄に絞られます。











アカハジロの雄は、頭部が緑色光沢のある黒で、胸の横が白っぽくなります。

一方、メジロガモの雄は、全身赤褐色です。

くちばしが鉛色、胸が赤褐色、背が暗褐色、下尾筒は白なのは、両種とも共通の特徴です。(画像では見えませんが、のど(腮)に白斑があるのも共通の特徴です。)



これらを踏まえてこの鳥を観ると、どうでしょう?



一見、アカハジロの雄に近い印象を受けます。でも、ちょっと変。

変なところ1:頭部に赤褐色味がある。アカハジロならば、赤褐色味は全くないはず。

変なところ2:胸の脇の白色部が中途半端。アカハジロならば、もっとはっきりと白いはず。

これらの特徴は、アカハジロとメジロガモの雄の形質が交じり合って発現していると考えると納得できます。



以上の点から、水鳥公園では、この鳥はアカハジロとメジロガモの交雑個体の雄だと判断しました。

発見した時はアカハジロの雄だと思い込んでいましたが、後に撮影画像を見直してみると、観察時には気付かなかったことに気付くことができました。



カモ類は、複数の種類の特徴が交じり合っている個体が時々見つかります。カモ類は鳥類の中でも交雑個体が生じ易いようです。水鳥公園でも、ホシハジロ×メジロガモ、マガモ×カルガモ、マガモ×オナガガモ、ヒドリガモ×アメリカヒドリと思われる交雑個体の観察例があります。



皆さんも、見慣れない鳥、珍しい鳥を見つけたら、出来るだけ撮影して証拠画像を残しておくことをお勧めします。