2019年1月6日日曜日

水鳥のバードカービングデコイ公募展終了


本日で、水鳥のバードカービング・デコイ公募展は終了です。
最後にコアジサシのデコイとデコイづくり教室の関連の報告をします。
 

今回のデコイ展でご紹介したデコイを使った自然保護ですが、鳥島とか動物園とか特殊な場所だけでなく、身近なものもあります。それは、コアジサシのデコイを使った繁殖誘致運動です。

コアジサシは広い砂浜に卵を産むカモメに似た鳥です。砂浜の真ん中という目立つ場所で繁殖するため、コロニーを作って集団で繁殖します。ところが、コアジサシの繁殖地は、近年こういった砂浜の開発だけでなく、RV車の砂浜の乗り入れや野良猫などの増加のため急激に減少しています。このコアジサシの繁殖を助けようと、全国でこのコアジサシのデコイを置いて繁殖地を守ろうという運動が行われています。繁殖地として利用できそうな環境に、コアジサシを呼び寄せるために使われています。











リトルターンプロジェクトで使われているデコイ


鳥取県でも野鳥の会鳥取県支部など野鳥保護団体により大きな川の河口などで同様な活動が行われています。
東京のモノレールの駅のある昭和島では、東京湾には砂地がないために大型施設の広大な屋根にこのデコイを置いて誘致を試みている場所もあります。このリトルターンプロジェクトでは、年によっては5000羽を超えるコアジサシの誘致に成功しています。








モノレール昭和島駅前の東京都下水道局森ヶ崎水再生センター(下水処理場)がある。ここの屋上にコアジサシのデコイが置かれて繁殖誘致が行われている。






今回の公募展では関連企画として、このコアジサシのデコイを作るイベントも実施しました。ヤスリを使ってデコイを削り出し、ピカピカにペンキを塗っていくのはとても楽しいひと時でした。なかなかコンクールに出展するようなものを作るのは大変ですが、こんなボランティアも楽しいかもしれません。

















また、この活動の大変なところは、コアジサシに仲間がたくさんいると思ってもらうために、大量にデコイを作らなければいけません。これを作る作業が大変で、削り出す作業だけでなく、デコイの材料にも費用がかかり、作れる数も限られるそうです。そのため、製作に協力してもらうボランティアを募集したり、このデコイを安価に製作するために金型を作ったりしている団体もあります。このように、コアジサシのデコイ作りは、一番身近にできるデコイを使った自然保護活動です。
















 このようにデコイは古く歴史のあるものですが、デコイを使った活動は今後も様々な形で広がってゆくでしょう。

最後に、この公募展にクラウドファンディングそのほか寄付金などでご支援いただいた皆様、作品の募集にご協力をいただいた日本バードカービング協会内山春雄会長他皆様、公募展に出展していただいた全国のカーバーの皆さん、展示にご協力いただいた保護団体の皆様、貴重な西村コレクションを貸していただいた三瓶自然館、ボランティアで展示や監視をお手伝いいただいたバードカービング米子の皆様、日本野鳥の会鳥取県支部の皆様ほか、協力いただいたすべての関係者の皆様に、改めてお礼を申し上げます。

公募展での来館者投票による「特別賞」は、
菊田 幹夫(広島県) さんのオシドリ メス(親子)」に決まりました。
菊田さんにも記念品と賞状がおくられます。