本日6月4日はムシの日です。
というわけで、今日は虫の話題です。
現在、ネイチャーセンターから見える風景の中に鳥の姿が少ない一方で、
窓ガラスにはたくさんの虫がとまっています。
その正体はユスリカです。
カという名前ですが、私たちを刺すカとは科が異なる別の虫です。
(ユスリカはユスリカ科、カはカ科)
カはメスが産卵のために吸血しますが、ユスリカには口がなく、
成虫になると餌をとりません。
寿命は1日程度で、交尾をするとすぐに死んでしまいます。
この写真のユスリカは全てオスで、
羽毛のような形の大きな触角を持っています。
メスの触角はとても短くて目立ちません。
ユスリカがたくさんとまるガラス面に、
ミスジハエトリがいました。
ユスリカに飛びついて食べようとするのですが、
何度やっても捕らえられません。
なぜなら、ユスリカはガラスの外側、
ミスジハエトリは内側にいるからです。
ガラス越しに何回もユスリカに飛びついている
ハエトリグモを観察するのも面白いです。
ユスリカは、夕方になると空を多数飛び交います。
いわゆる「蚊柱」で、
夕暮れ空から羽音が響き渡るほどです。
とてつもない量いて、ハエトリグモや鳥をはじめ、
様々な生き物の食物となり命を支えている、
とても重要な存在です。
そう思ってユスリカの群れを見てみると、
ちょっと可愛らしく思えてきます。
そして、現在シーズン真っただ中のヌカカ。
通称「干拓虫(カンタクムシ)」。
5月下旬から7月上旬頃にかけて、
頃中海周辺に多数発生する不快昆虫です。
水鳥公園で主に見られるのは、
トクナガクロヌカカという種類です。
体長は1.7mmくらいです。
見つけると(本能的に)すぐに手ではたいてしまうので、
体が壊れていないヌカカを拡大して観察できる機会は貴重です。
写真の個体は、生きたままチャックつき袋に入れ、
マイナス20度に6時間程度置いたものなのですが、
デジタル顕微鏡で観察している最中に、
触角や脚の末節がピクピクと動き出しました。
体の芯まで凍っていたはずなのに、恐るべき生命力です。
ヌカカは刺されると大変痒くてなかなか治りませんが、
虫よけが有効です。
また、肌を這っていてもすぐに刺すわけではないので、
速やかにはたき落とせば大丈夫です。
ですから私たち職員は、
ヌカカシーズンでも水鳥公園内で勤務できています。
水鳥公園では、ネイチャーセンターに粘着クリーナーを備えています。
屋外を歩いているとヌカカが服にとまってくるので、
入館後すぐに体を粘着クリーナーでコロコロして、
ヌカカを取り除きましょう。
とても不愉快な昆虫ですが、夏休み前になるといなくなります。
それまでの辛抱です。
きっとヌカカたちも、ユスリカと同様に
生態系の中で何か重要な役割を担っているはず、
と思うのですが、やっぱり好きになれません。
早くヌカカシーズンが終わらないかな~。
(きりぎりす)